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ちょっと怖い山の話 vol.1

ぶるぶるっと身体が痙攣するかのように震えた。

ありったけの服を全て着込んでシュラフにくるまってるのに、一向に体温が上がらない。
暴風の固まりがテントを直撃するたびに内張に氷りついた結露がバラバラと音を立てて落ちてくる。
暴風はまるで獣の雄叫びのような音を立てて恐ろしさを増している。

シュラフの中で時計を見る。
まだ12時。夜が明けるまであと7時間もあるではないか。
いったい何時間この状態で丸まっているのだろう。
もう食料が底をつきかけているだけに明日はどんな状況であれ出発しなければならないと考えている。しかしこの吹雪が収まらなければ、死にに行くようなものだ。
夏なら半日もあれば下山できる場所なのに、こんなところでこんな停滞を余儀なくされるとは思わなかった。
夕方のうちに沸かしてサーモスに入れておいたホットポカリを少し飲む。飲み物や非常食は全てシュラフの中に入れてある。そうしなければテントの中は氷点下、凍ってしまうのだ。
それから数時間はまどろんだだろうか、ふと風の音が消えていることに気が付く。
しばらくの間ずっと小便を我慢していたので、今がチャンスと外に飛び出すことにする。吹雪のためにテントの前が雪で埋まっている。靴を履き、前室に置いてあるスコップを片手に外に出る。
雪かきをしておかないと、テントが雪に押しつぶされてしまうのだ。現にテント内の空間が随分狭くなってきていた。

空を見上げると雲の切れ間から星が覗いている。やっと、明日は回復しそうだ。
遠くでドーンッと鈍い音が聞こえる。雪崩の音だ。
ここは雪崩の心配の無い場所であるが、山はいつどこで何を起こしてくれるか想像のつかないところでもある。にわかな恐怖感を覚え、そそくさとテントに戻る。
雪をかいて少し広くなったテント内。出入りしたため、わずかに暖まっていた室内も一気に極寒の世界と同化してしまった。出入り口を開けたまま、タバコに火を付ける。吹雪いているかいないかで、同じ気温でも体感温度は全く違う。
たくさんの防寒着を着たままなので、風が無ければ体温と機能性の高い衣類で随分温かく感じられるのだ。

夜明けまであと2時間ほど。丸二日閉じこめられてたので、身体は動きたくて仕方がない。もう少し寝る時間はあったが、天候が回復したことに気を良くし、朝食を取って撤収の準備をすることにした。

インスタントの玉子スープを飲み、餅を茹で戻して中に入れる。それを有り難く平らげた後はビスケットを少しつまむ。
午前6時。
真っ暗闇の世界からわずかに視界が利きはじめ、昨夜までの荒れ狂った山は別人のような静寂の朝を迎えつつあった。

6時半、全ての撤収を終え、寒さの中二日間丸まっていた身体をほぐすために簡単なストレッチをしておく。
もう完全に視界がきく明るさとなった。

ずっしりと肩に食い込むザックを背負い、アイゼンをもう一度確認し、ピッケルを握り、ようやく出発である。
あれだけ荒れていた割には、表面に積もった雪はさほど深くもなく、おまけにこの冷え込みのためか雪質はきわめてパウダーで、下る分にはラッセルは全く苦にならない。
この調子だと午後過ぎには下山できそうだ。
雪崩を避けて尾根づたいに下ること1時間ほどだろうか。
ドドドドドド・・・・」という地響きが辺り一帯を覆った。
雪崩である。それも、自分が歩いてる尾根のちょうど下あたりで表層雪崩が起きたようである。
すぐにそっちがのぞける岩場から顔を出してみる。。
まさに幅100mはあろうかという規模の表層雪崩であった。思わず身震いしながらしばらく剥がれた一面を見ていた。

すると、なんということか、雪崩の末端にカラフルな原色のテントがいくつか見えるではないか。
テントは形を成して無い。雪崩に流されたのは一目瞭然だった。

すぐに双眼鏡を取り出してその辺りを確認する。
やはりテントの周りには人影もある。4人くらいは確認できた。
しかし、誰一人として身動きが無い。

救助しなくては・・・

そう口に出して言ってみたものの、ここからあの場所に行くには、沢を下りなくてはならない。それこそ第二の雪崩を引き起こす自殺行為のようなものである。
一旦下山して下からあそこに登り返すしかなさそうだ。
何より、彼らはなんであんなところにテントなんか張っていたんだ!と怒りにも似たような感情がこみ上げる。

雪に埋まってるなら時間との勝負である。
転げ落ちるように雪崩の心配がなさそうな斜面までは尾根づたいを下る。そこから彼らの元に向かう。新雪が覆っているため、アイゼンが効かない。もがくような登り方でなんとか先ほどの地点にたどり着いた。あれから時間は40分ほど。もしかしたら、もう遅いかもしれない。でも、表面にいた数名ならなんとかなる・・・と、必死に探した。

が、上から確かに見えたテントも人影も、何一つ無いのである
それどころか、雪崩の後さえも見あたらない。
場所を間違えたか?とも思ったが、さっき自分が上から覗いていた岩場は確かにこの真上にある。夏にも何度も来てるルート。あの岩の形を間違えるはずがない。

まるで狐につままれたような思いで立ちすくんでいた。
もう少し上かと思って登るが、雪崩の跡形は全く無く、真っ白な雪面は静寂に包まれている。
もちろん、原色のテントなど360度見渡しても全く目に入らない。

2日間も寒い中閉じこめられていたから頭がおかしくでもなったのか・・・と苦笑いしてしまった。
を見たという意外考えられないからである。
まあ、これから壮絶な救助をしなければならないと緊張していただけに、幻なんかを見た自分の頭も心配だったけど、それ以上に安堵感が全身を覆ってきたのがわかる。

と、その時である。

真上の尾根づたいの岩場で聞いたあの、「ドドドドドド・・・・」という地鳴りが、
今自分のいてる、その真上でしたのである。。。

見上げたその目に入ってきたのは、まさに自分一人だけに襲いかかる「雪崩」であったのだ。



つづく


(注:多少、人様の作品をパクってます^^;)
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>真夏の暑くてあつくてショーーもない体育館で読みたい

次回更新はそれくらいの時期になるかもしれません(爆)
kaze | URL | 2007/03/08/Thu 14:19 [EDIT]
できれば、、真夏の暑くてあつくてショーーもない体育館で読みたい、、
新田次郎ファン | URL | 2007/03/08/Thu 13:35 [EDIT]

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